土曜の夜に、成田に帰国しました。飛行機から降りた途端に、LAとの気候の違いを肌で感じます。

日本の強い湿気を不愉快と思いません。日本の夏の夜の風は寧ろ好きです。

西海岸の中でもLAの気候は素晴らしいし、日本人にとって過ごし易い環境なのですが・・・たった中1日での滞在でしたが、やはり私は日本が好きです。日本にいると思うだけでほっとします。春夏秋冬が美しい、深美を感じさせられるこの国は素晴らしいです。

National Geographic, Japan Photo

アメリカでも日本と同じく、思いやりとか親切心を持つ方も・・・おそらく日本のわびさびの良さを解する人もいることでしょう。National Geographic を見る限り、日本の美は世界的にも特殊かつ秀逸なものなのでしょう。故に、日本文化が大好きな人達が世界中にいるわけです・・・嬉しい話ですね。

それほど、テレビを見る訳ではないのですが、和風総本家は面白いです。何十年もの同じ作業の繰り返しが染み付いた職人さんの手が生み出す技を美しいと感じます。

人間国宝ギャラリー

私もProfessionalとして、鍛錬によって人の手が繰り出せるようになる技術に敏感になります。実際に、人間国宝の作品を目の当たりにすると息をのみます。とは言え、日本の歯科市場でしばしば見受けられる、歯科医師の独りよがりのProfessionalismや、歯科医師の為のProfessionalismには疑問を感じます。

歯科医師は専門的な知識を技術に反映させた治療を提供する知識技術職であり、6年間の職能教育を受けた後に国家資格保有者となります。そして、現在いる10万人超の歯科医師の約85%は、一般開業医において働いています・・・つまり、診療所を開設して、保険制度に従って歯科治療を提供するという家内産業的な業態が一般的です。

歯科医院は,保険治療と保険対象外の自費治療から収入を得ます。保険治療は,削って銀歯を被せる等の一般的にイメージされる歯科治療を広くカバーしており、一通りの治療が受けられます。一方で、自費治療では歯並びを綺麗に直す。あるいは,銀歯の代わりに宝石のように美しい歯を被せる等患者のより高い欲求にこたえるための治療を行います。多くの歯科医院の経営は、保険治療からの収入なしにはなりたちません。歯科医師は、定期的に保険治療費を国に請求し収入を得ています。しかしながら,個々の治療単価は他の先進国と比較し、非常に低く設定されており、基本的に薄利多売が前提となっています。(治療毎の単価設定のため一概には言えませんが、総じて米国における治療単価の10分の1以下です)その一方で、日本における自費治療費は保険治療費と比較し、高額で利益率も高く設定されています。

歯科医院という経営体において自費治療志向が高まるのは当然と言えます。この事は、一部の歯科医師の強引な自費治療の押し売り等の温床となる一方で良い側面も持ち合わせています。つまり短時間で治療を行い、薄利多売で過不足の無い品質を目指す保険治療に対して、自費治療では適切な時間と手間をかけた適切な品質の歯科医療を提供できるという側面があります。

とは言え、ここの歯科医師が保険医という立場を返上していない限り、医療の本質は歯科医療保険制度に乗っ取った歯科治療を適正品質で提供する事にあります。また、大半の国民がそれを求めています。歯1本にウン万円を使ってください・・・と大半の国民に、今更問えるはずもありません。(国家予算の費用対効果を考えると大幅な修正は必要ですが・・・それは、歯科医療においてはあくまで効率化を図る為の既存の資本投下配分の問題であり、先進国において、医療福祉費・・・特に歯科医療費が抑制されるは避けられないのだから今更大幅な予算拡大は難しいでしょう)

その一方で、日本の歯科界では、歯科医師が完璧と思う歯科医療・・・champion case と言われる非の打ち所のない数百万円コースの自費治療症例のデータや写真をあたかもそれが歯科医療の本質であるかのように扱い、歯科医師を対象としたB to Bのセミナーを開く・・・所謂、セミナービジネスを行っている歯科医師がスタープレーヤーとして扱われる傾向にあります。

無論、勉強好きなそう言った先生方の存在は、歯科医医療のボーダーを拡げる意味合いで、また、知識を体系化した専門書などが広く歯科界に出る意味合いで確実にあります。また、Professionalとして自己の重要感を満たすためのArtist化は避けられないようにも思います。

ただ、一体何%の国民をターゲットとした治療なのか・・・歯科医師のArtists化は、誰に取っての価値を生むの?・・・歯科医師の納得の為にウン時間口を空け続ける事を求められる患者さん?・・・それとも、champion caseが欲しい歯科医師?・・・その反映効果は?

~ 貴方は、日常生活で自分の歯ぐきの0.5mmの違いを気にしますか? ~

私には否定できませんが、肯定もできませんでした。どうも国家観点から見た際に求められている歯科医療の本質を日本歯科界は見失っており、バランスが崩れかけているように感じます。今後書くかもしれませんが、日本は歯科医師教育の効果/効率は高いとは言えません。また、当然、歯科医療保険制度も環境の変化に対応できていません。そもそも歯科の業態自体がquality control不可能です・・・etc、諸問題があるため、今回はあくまでProfessionalismの一切り口から見た際にということです。
それをいびつに感じた結果、私は、この分野でPlayerとしての技術を極める事に喜びを感じられなくなってしまいました。向上心故に自己の満足感を満たしたい・・・Artist化したい思いと、論理的に導きだせる”求めべき価値を生めない”むなしさ・・・そのジレンマに背中を押され、自分の方向性を模索してきました。私自身は、職人気質が強いタイプですので、職人気質とArtist化の境界に余計にこんがらがりました。無論、一部のスタープレーヤーの先生方と話をさせて頂くと、彼らが歯科医師として求める価値を否定する事は出来ない事に気づかされます。全ての方が自身の治療以外に排他的という訳ではなく、素晴らしい独自のProfessionalism、人柄、あるいは高い視座をお持ちの方々もおられます。ただ・・・保険治療主体の歯科医師に対しての礼を逸し、全く魅力を感じさせられない人達もそれなりにおられます。それはどんな分野に置いても当たり前の事なのでしょうが・・・。あくまで、私という一個人の思考を通して導きだされる価値ということであり、私と彼らとでは”価値観が異なる”というシンプルな表現が正しいのかもしれません。

いずれにせよこの分野で、Playerとしてのmotivationを維持する事は私には出来ませんでした。それに気づくのが早かったが故に、歯科医師をやめてbusiness Schoolに行きます。
とは言え、歯科医療は好きです・・・そこで働く人達も凄く好きです・・・2年間の渡米は、私の可能性を広げる期間であると同時に、早くして結論づけてしまった・・・結論づけかけた・・・歯科医療から距離を置く為の期間なのかもしれません。

Playerに戻る事はあり得ませんが、2年後に歯科市場というフィールドに戻るなら、それはそれで良いです。今は、素直にそう思っています。歯科界には、マネジメントを必要とする分野/サービスがまだまだいくらでもあります。

ただ・・・一旦自分をフラットにします。

さて、今日も素晴らしい一日になりそうです。いろいろ渡米準備をすすめないとです。